自己破産で本当に残せる財産は何か?免除財産の全てをわかりやすく解説

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自己破産で本当に残せる財産は何か?免除財産の全てをわかりやすく解説

債務整理弁護士事務所

この記事を読むことで分かるメリットと結論

結論を先に言うと、自己破産で「絶対に全部失う」わけではありません。生活に必要な最低限のもの(衣類・調理器具・就労に必要な道具など)や、場合によっては居住用の住まいを残せる可能性があります。ただし「何が残るか」は裁判所の判断や管財手続の有無で変わるので、事前の整理と専門家相談が大切です。このページを読むと、残せる財産の具体例、ケース別の違い、手続きの流れ、準備すべき書類と弁護士の選び方までしっかりわかります。



「自己破産 残せる財産」──まず知りたいことを簡潔に回答します


結論(要点)
- 自己破産でも、生活に必要な最低限の家具や衣類、仕事で使う道具、年金や生活保護などの公的給付は、原則としてすべてが差し押さえられるわけではありません。ただし「何が残るか」は個々の財産の内容や評価額、手続の種類で変わります。
- 財産の扱いや「自宅を残せるか」「車を残せるか」は、任意整理・個人再生・自己破産それぞれで大きく異なります。まずは専門家に実情を見せて相談するのが最短で確実です。
- 以下で、各手続の特徴・費用の目安・具体的なシミュレーション例・弁護士無料相談で確認すべき項目をわかりやすくまとめます。

自己破産で「残せる財産」のイメージ(一般論)

自己破産では、裁判所や破産管財人(管財事件の場合)が債権者に配当するために換価できる財産を調査・処分します。一般的に「差し押さえ・換価されにくい」「実務上残ることが多い」財産カテゴリは次の通りです(詳細はケースごとに異なります)。

- 日常生活に必要な家具・家電(過度に高価なものは換価対象になり得る)
- 衣類、寝具、食器などの生活必需品
- 仕事で使う道具・器具(職種に応じ必要最低限の範囲)
- 年金・公的給付(一定の保護あり。振込分でも一定の取り扱い)
- 家族が生活する上で不可欠なもの(裁量が働く)

一方、注意が必要な財産:
- 高額な現金・預金や有価証券、解約返戻金のある保険(評価されて換価されることがある)
- 住宅(土地・建物)や高価な車は、抵当権や評価次第で処分対象になる可能性が高い
- 高額の美術品・宝飾品など

重要:上の分類はあくまで「一般的に多い取扱い」です。具体的に何が残り、何が取り上げられるかは、財産の評価額・所有形態・借入の担保有無・手続の種類(同時廃止か管財か)などで決まります。正確な判定は弁護士に相談してください。

債務整理の種類と「残せる財産」「費用の目安」


1) 任意整理(弁護士・司法書士が債権者と交渉)
- 概要:裁判所を使わず、将来利息のカットや分割返済で和解を目指す。原則として債務の減額を大きく求めない。
- 残せる財産:基本的に財産を処分しないため、自宅や車は手放さなくて済むケースが多い。ただし返済を続けられることが前提。
- メリット:手続が早く和解できれば信用情報への記載期間が比較的短め(ただし個人の状況により変わる)。
- デメリット:借金の大幅な免除は期待しにくい。個々の債権者の同意が必要。
- 費用の目安(目安):1社あたり2万~5万円程度(着手金)+和解成功時の報酬。全債権者分の合算が必要。※事務所による

2) 個人再生(民事再生/住宅ローン特則あり)
- 概要:借金総額を大幅に圧縮(原則として支払える範囲に圧縮)して残債を分割で支払う。住宅ローン特則を使えば住宅を残せるケースがある。
- 残せる財産:住宅ローン特則を使えばマイホームを維持しやすい。その他は原則として換価対象ではあるが、再生計画に基づき返済できる範囲で残ることも。
- メリット:住宅を守れる可能性がある。自己破産ほどの社会的制裁が少ない。
- デメリット:要件(継続収入等)と裁判所の審査がある。手続きがやや複雑。
- 費用の目安(目安):弁護士費用として30万~50万円程度が一般的。裁判所手数料・予納金等が別途必要。

3) 自己破産
- 概要:支払不能を裁判所に認めてもらい、一定の財産を換価して債権者に配当し、残債について免責(支払免除)を受ける手続。
- 残せる財産:生活必需品や職業上必要な道具などは残ることが多いが、高価な資産は換価される。管財事件では特に詳細な調査が行われる。
- メリット:免責が認められれば大幅な整理が可能。借金の全額が免除される場合がある。
- デメリット:一定期間の資格制限や社会的影響、資産が処分される可能性。
- 費用の目安(目安):同時廃止であれば20万~30万前後、管財事件(資産がある場合)であれば30万~50万円以上+予納金(裁判所への納付)など。事務所・事案により差が大きい。

(注)上の費用はあくまで一般的な市場感で、事務所ごとに料金体系・支払方法は大きく異なります。無料相談で見積りを取って比較してください。

費用・結果シミュレーション(具体例でイメージする)

以下は「よくある典型パターン」を想定したモデルケース(数値は目安)。実際は個別事情で差が出ますので、あくまで参考としてください。

ケースA:若年・単身/借金総額35万円(カード・消費者金融)
- おすすめ:任意整理(または少額なら示談)
- 期待される結果:利息カットや分割和解で返済負担大幅軽減、資産処分なし
- 費用目安:着手金(1社3万円×複数社)→合計6~12万円程度。裁判所費用不要。
- 期間:数ヶ月で和解成立することが多い。

ケースB:中年/借金1,200万円・自宅ローン継続希望
- おすすめ:個人再生(住宅ローン特則の検討)
- 期待される結果:借金総額を圧縮し、住宅ローンは原則どおり残しつつその他債務のみ再生計画で整理
- 費用目安:弁護士費用30~50万円+裁判所手数料等。生活保護等とは異なり就業継続が前提。
- 期間:申立てから計画認可まで概ね数ヶ月~半年程度(状況による)。

ケースC:多額債務(5,000万円)・資産評価で換価の可能性あり
- おすすめ:自己破産(資産処分を踏まえた管財事件の可能性)
- 期待される結果:処分可能な資産は換価され債権者へ配当。免責が認められれば残債は免除。ただし住宅や高額資産は失う可能性あり。
- 費用目安:弁護士費用+管財予納金などで合計数十万円~(事案により変動)。
- 期間:管財事件の場合は半年~1年以上かかることもある。

どうやって「自分に合う手続」を選ぶか(チェックリスト)

相談前にまず押さえておくべきポイント
- 借金合計額(種類ごとに内訳:カード、銀行ローン、親族など)
- 毎月の収入と生活費、返済に使える余剰資金の目安
- 自宅や車、保険の有無(所有形態、ローンの有無)
- 預貯金、有価証券、解約返戻金のある保険の有無と概算の金額
- 家族構成(扶養者の有無)や職業上の制約(資格)

この情報で「任意整理で済むか」「個人再生で家を守れるか」「自己破産が現実的か」の大まかな方向性が決まります。

弁護士(または司法書士)無料相談を活用するポイント

- まずは無料相談を利用して、上のチェックリストを用意して実情を説明してください。写真や資料(ローンの契約書、督促状、通帳の写し、給与明細など)を持参すると話が早いです。
- 無料相談で必ず確認すること:
1. あなたのケースで現実的に可能な手続は何か(複数案を比較して説明してくれるか)
2. 想定される結果(自宅・車は残るか、免責の見込みなど)
3. 費用の内訳(着手金・報酬・裁判所費用・予納金)と支払方法(分割可否)
4. 相談後の具体的なスケジュール(いつから手続を始め、どのくらいで完了するか)
5. 連絡体制(担当者・連絡方法・対応時間帯など)
- 事務所を選ぶ際のポイント:
- 債務整理・破産事件の取り扱い実績が豊富で、類似ケースの経験があるか
- 料金が明確で見積りを提示してくれるか(追加費用の発生条件も確認)
- 面談で話しやすい人(信頼できるか)かどうか
- 手続後のフォロー(信用情報対応や公共機関との手続き)をしてくれるか

弁護士無料相談のために持っていく書類(あるものだけでOK)

- 借入一覧(契約書・利用明細・督促状など)
- 預金通帳の写し(直近数ヶ月分)
- 給与明細(直近1~3ヶ月)や源泉徴収票
- 不動産の登記事項証明書やローン契約書(自宅がある場合)
- 車検証(車がある場合)
- 保険証券(解約返戻金があるか確認するため)
- 身分証明書(運転免許証等)

よくある質問(FAQ)

Q. 自宅は必ず手放すのか?
A. 必ずではありません。個人再生の「住宅ローン特則」などで自宅を守れる場合がありますし、自己破産でも場合によっては同時廃止で換価の必要がなく自宅が残ることもあります。個別事情の確認が必須です。

Q. 仕事に必要な道具は取られるのか?
A. 職業上必要不可欠な道具は、実務上は換価対象になりにくい扱いを受けます。ただし評価額が高い場合は判断が分かれます。

Q. 相談は本当に無料?
A. 多くの弁護士事務所は初回相談を無料で実施しています(事務所により条件あり)。予約時に確認してください。

最後に(行動のすすめ)

「自己破産で何が残るか」は非常にケースバイケースです。まずは手元の書類を用意して、弁護士の無料相談を受けてください。相談で得られる「現実的な選択肢」と「費用の見積り」が、あなたにとって最短で最良の解決につながります。早めに相談するほど、選べる手段が増えたり、生活のダメージを抑えられたりします。

相談時に使えるチェックリスト・持ち物リストはこの記事の該当箇所にまとめています。準備して相談窓口に連絡してみてください。必要なら、あなたの事情(借金額・収入・資産の有無など)を教えていただければ、より具体的な選択肢と費用シミュレーションの例を作成します。


1. 自己破産で“残せる財産”とは?基本の考え方 — まずは全体像をつかもう

自己破産では「財産を処分して債権者に配当する」ことが基本です。一方で、日常生活や就業に必要な最低限の財産は保護されます。法律用語では「自由財産」や「免除財産」と呼ばれ、裁判所の運用でどこまで残すかが決まります。具体的には、生活必需品(寝具、衣類、台所用品など)、公的給付(年金は原則差押えが制限される)、就労に必要な工具や機械、自宅を手放さずに済む場合もあります。しかし、価値のある不動産や高級車、預貯金のまとまった額は換価(売却)されて債権者に分配されることが多いです。

裁判所の手続きには「同時廃止」と「管財事件」があり、後者では管財人が財産を調査・換価します。つまり、管財の場合は残る財産がより制限される傾向があります。どちらの手続きになるかは、財産の有無・債権者の有無・過去の処理状況などで決まるため、申立前の整理が重要です。

(筆者メモ:私が法律事務所で相談を受けた際、多くの方が「家は手放すのか?」と不安がちですが、居住実態や家族の有無、住宅ローンの有無によって結論が大きく変わります。まずは財産目録を一緒に作るところから始めましょう。)

1-1. 免除財産と一般財産の違い — どちらに当たるかで運命が変わる

免除財産(自由財産)は、生活を続けるために最低限必要なもの。一般財産は債権者に配分される対象です。たとえば、毎日の食事や寝具、日常の衣類、幼児用の必需品、職業に必要な工具などは免除財産に当たることが多いです。一方で、高額の宝飾品、換金可能な投資商品、不動産(居住用の評価やローン状況を除く)は通常、一般財産になります。

裁判所は「換価しても配当できるほどの価値があるか」「換価して生活が著しく困難にならないか」などを勘案して判断します。つまり、同じ「自動車」でも通勤に必須の軽自動車と高級外車では扱いが変わることがあります。

1-2. 生活費・日用品・衣料の扱いと基準 — 毎日の生活は守られるの?

日常生活で必要なものは基本的に残ります。具体的には、食器、冷蔵庫、洗濯機などの家電、寝具、通常の衣類、幼児用の必需品、日常の調理器具など。子どもがいる場合は児童用品も考慮されます。これらは売却対象にならないのが原則です。

ただし「高級ブランドの服」「複数の高級家電」「装飾品」など、生活必需性が薄く価値の高い品は換価対象となる可能性があります。裁判所や管財人は、生活の維持に不可欠かどうかを基準に判断します。ですから、申立前に「何が本当に必要か」を整理しておくと、管財人とのやり取りがスムーズです。

(体験談:相談者の中には「昔の高級オーディオが家にある」と言う方がいます。趣味性の高い高価な物は換価対象になりうることが多いので、事前に写真・購入証明を用意し、用途を説明できると良いです。)

1-3. 居住用財産(住居・敷地)とその制限 — 家を残せる場合、手放す場合

自宅は多くの人にとって最重要の関心事です。自宅がローンで抵当権がついている場合、金融機関が優先的に処理するため、自己破産の影響はローンの残高や抵当権の状況で変わります。所有者が単独でローンを抱えている、または共有名義の場合で処理は異なります。

居住用不動産が明らかに高価で換価すれば債権者に意味ある配当があると判断されれば売却・換価されることがありますが、家族が暮らしており売却で居住が困難になる場合は、裁判所が住み続けられるよう配慮することもあります。特に高齢者や障害のある家族がいるケースでは、その事情を明確にしておくことが重要です。

ローンが残る自宅を手放さずに済むかは、抵当権との関係、自宅の評価額、申立人の収入見込み、配偶者や同居家族の事情に依存します。裁判所に提出する書面で生活の実情を丁寧に説明しましょう。

1-4. 現金・預金・給与・年金・退職金の扱い — お金はどうなる?

預貯金や現金は換価が容易なので、一般的に配当の対象になりやすいです。ただし、生活費として不可欠な少額は免除されることがあります。年金については法律や運用で差押えが制限されているため、年金そのものが丸ごと没収されることは通常ありません。給与も差押え保護があり、一定の生活費は残るよう設計されています。

退職金は支給時期や請求権の有無によって扱いが変わります。将来支給される退職金請求権は一般に「将来の所得」であり、すぐに換価されるわけではないものの、裁判所は事情に応じて評価することがあります。つまり、まとまった預金や即時換価できる金融資産がある場合は、これを処分して配当に回される可能性があると理解してください。

(ポイント:生活費・給与の差押え基準は実務的に配慮されます。破産の場合も同様の配慮があるため、日常生活が極端に困窮することは原則として避けられます。)

1-5. 自動車・車両の扱いと基準 — 通勤車は残る?高級車は?

自動車は「生活・就労に不可欠か」「換価して意味のある配当が出るか」を基準に扱われます。たとえば、公共交通機関が使えない地域で通勤に必須の軽自動車は残る可能性が高いですが、複数台持ちや高級外車は換価対象になることが多いです。

事業用車両も同様で、事業の継続に必要ならば免除されることがありますが、事業が破たんしている場合は換価対象になりやすいです。管財人が価値を評価して、売却するか、免除を認めるか判断します。

実務上、車検証やローン残高、保険、使用実態(通勤か趣味か)を整理しておくと判断がつきやすくなります。

1-6. 将来の所得・年金見込みの扱い — 将来の収入は差し押さえられる?

将来の所得(昇給見込みや将来の賞与、将来の退職金請求権など)は、将来のものであり即時換価はできません。破産手続では「現在の可処分財産」を中心に扱うため、将来の所得が直ちに没収されることは通常ありません。ただし、将来支給される退職金請求権や未払賞与などについては、ケースによっては評価され得ます。

年金は法的に差押え制限がある制度があり、生活保護に近い目的の年金部分については保護されるため、年金受給者がすべての年金を失うということは通常ありません。具体的な扱いは裁判所や管財人の判断によります。

1-7. 家財・財産の換価と免除の適用判断 — 管財人は何を見る?

管財人が選任されると、まず財産の有無を調査して換価可能な資産を見つけます。評価の際には「市場価値」「換価にかかる費用」「換価して配当可能か」「換価すると生活が困窮するか」といった点を勘案します。免除に当たるかどうかは、日常生活に必要な度合いが重要です。

換価プロセスでは、不動産は不動産業者を通じて売却、車両はオークションや業者買取で処理されることが多いです。電子マネーやポイント、仮想通貨がある場合は、その可換性が問題となります。特に仮想通貨は換価が比較的容易であり、換価対象になりやすいので注意が必要です。

1-8. 免除財産の具体事例と「避けたい落とし穴」 — よくある誤解

具体例をいくつか挙げると、
- 一人暮らしのAさん:通常の冷蔵庫・洗濯機・寝具は免除、預金がまとまっていると換価対象。
- 家族と暮らすBさん:居住用の家は居住実態やローンの有無で残せる場合あり。ただし資産価値が高ければ換価されることも。
- 自営業のCさん:仕事道具は免除されることが多いが、事業用不動産や高額在庫は換価対象。

避けたい落とし穴は「申立前に財産を隠す」「近親者に不当に移転する」こと。これらは違法行為とみなされ、免責が認められない、あるいは詐欺的な処理として問題になります。誠実に全財産を申告することが何より大切です。

1-9. 裁判所の判断基準と実務上のポイント — 何を重視する?

裁判所は事実認定を重視します。重要なのは「生活実態(同居家族の状況)」「財産の明細と評価」「債権者に対する配当の可能性」「申立者の過去の取引や隠匿の有無」です。特に、申立前数年間の大きな資産移転は厳しくチェックされます。

実務ポイントとしては、以下を押さえておきましょう。
- 財産目録を正確に作る(預金通帳の履歴、不動産登記簿謄本、車検証など)。
- 日常生活に必要な理由を説明できるようにする(同居家族の年齢、就労状況など)。
- 申立後の手続きで提出する書類は速やかに用意する。

(意見:裁判所は「形式」だけでなく「実態」を見るので、生活の実情を具体的に示すことが審判で有利になります。)

1-10. ケース別の概略比較(仮想ケースの簡易比較) — どのケースが残りやすい?

3つの仮想ケースで比較してみます。
- ケースA:単身・給与所得者・預金なし → 日用品や就労道具は残る可能性が高い。管財になるほど財産が少ないと同時廃止になる可能性。
- ケースB:夫婦と子ども・自宅所有だがローン残高あり → 自宅はローン状況次第で残る可能性あり。居住実態を示す書類が重要。
- ケースC:自営業で事業用不動産・車両・在庫あり → 管財手続となる可能性高く、事業用資産は換価対象となるリスク大。

このように「家族構成」「資産構成」「事業の有無」で結論は大きく変わります。まずは自分の状況を客観的に整理しましょう。

2. ケース別:あなたの状況で残せる財産はどう変わる? — ペルソナ別に深掘り

ここからは具体的な状況別に、どの財産が残りやすいかを解説します。自分に近いケースを見つけて、当てはめてください。

2-1. 30代独身・給与所得者の場合のポイント — 単身者は何を残せる?

単身の給与所得者の場合、一般に日常品や就労に必要なものは残りやすく、預貯金があまりない場合は同時廃止となることが多いです。給与の差押えについては一定の生活費保護がありますので、生活費の全額が失われるわけではありません。ただ、クレジットカードの利用明細や高額な投資の有無はチェックされます。

ポイント:
- 預金・現金がまとまっている場合は換価リスクあり。
- 通勤用の車が必要な地域では車を残せる可能性が高い。
- 同時廃止が認められるかは財産の有無と債権者の状況次第。

(体験談:会社員の相談者で、趣味で集めた価値のあるフィギュアを多数持っていた方がいました。趣味性の高い収集物は換価対象になりやすいので、事前に価値と用途の説明を用意しておくと安心です。)

2-2. 家族持ち・配偶者・子どもがいる場合の留意点 — 家族の生活が第一

家族がいる場合、居住継続の必要性が強く考慮されます。子どもの学校や通学環境、高齢の同居者の有無などが重要です。たとえ自宅にローンが残っていても、離婚や転居が家族に大きな負担を与える時は、裁判所が居住継続を認める方向で調整することがあります。

注意点:
- 共有名義(配偶者と共有)の不動産は配偶者の権利も考慮されます。
- 配偶者が収入を持つ場合、その収入や財産が家族全体の生活維持にどう関係するかが問題になります。
- 子どもの養育費や学校関連の費用は、免除財産の説明に役立ちます。

(実務アドバイス:家族構成や子どもの年齢・学校名など、裁判所が判断に使う具体情報を提出すると説得力が増します。)

2-3. 自営業・事業財産がある場合の扱い — 事業を続けたいならどうする?

自営業者は事業用資産(在庫、機械、事務所・店舗、不動産など)が問題になります。事業の継続を目指す場合は、個人再生や民事再生など別の整理手段も検討する価値があります。自己破産を選ぶと事業用資産が換価されることが多いので、再起のための資産残存策を専門家と相談して検討しましょう。

ポイント:
- 事業用資産は換価対象になりやすい。
- 再生手続(個人再生)であれば住宅ローン特則などで自宅を守りつつ債務を圧縮できる場合もある。
- 従業員がいる場合は雇用維持や債権者との調整が必要。

(筆者見解:自営業者は「自己破産」で全てをリセットするメリットと、事業資産を残す「再生手続」のメリットを比較して決めるべきです。専門家と複数のシナリオを作ることをお勧めします。)

2-4. 学生・若年層でのケースと生活費の確保 — 将来を見据えた判断

学生や若年層は債務が少額であるケースが多く、同時廃止が認められやすいです。生活資金や学費、奨学金の状況によっては支援制度を活用する余地もあります。将来の職業機会に悪影響を与えないよう、免責が下りるまでの生活設計が重要です。

注意点:
- 大学・専門学校の在学継続のための理由書や保護者の状況を整理する。
- 学生ローンや奨学金の扱いは場合によって異なるため、個別に確認する。

2-5. 高齢者・年金中心の生活の場合の判断 — 年金生活は守られる?

年金中心の高齢者は、年金の差押え制限や生活の脆弱性から、裁判所が生活維持を強く考慮する傾向にあります。居住継続や医療費、介護費用の負担などを具体的に示すことで保護が期待できます。

ポイント:
- 年金は法的な保護があるため、原則として受給年金がまるごと没収されることはない。
- 医療・介護の必要性は重要な判断材料になる。
- 不動産の処分が起こる場合は、同居者の生活維持の観点から調整されることがある。

2-6. 夫婦間の財産分離と共同財産の扱い — 共有名義はどうなる?

夫婦で共有財産がある場合、その処理は複雑です。名義が共有でも、実質的にどちらが財産を管理していたか、生活費の負担割合、寄与の有無などを見られます。配偶者が無関係で単独名義で生活している場合は、配偶者の財産には影響が及ばないことが多いです。

実務上、婚姻期間中の贈与・名義変更・生活費の流れはチェックされます。無償で財産を配偶者に移す行為は問題視される可能性があるので、過去の移転については説明できる資料を整えておきましょう。

2-7. 実務的なケーススタディ(仮の事例紹介) — 具体例でイメージをつかもう

事例1:東京都在住・30代独身・預貯金20万円、家財・日用品のみ → 同時廃止の可能性が高く、日常品は残る見込み。
事例2:大阪府・夫婦と子2人・持ち家(ローン残高あり) → 居住を守れるかはローンと家の評価次第。住宅ローン特則や個人再生も検討。
事例3:福岡県・自営業・在庫と機械あり → 管財手続で換価される可能性が高く、再建と再出発の選択肢も考えるべきケース。

これらの事例はあくまで概要です。地域差や裁判所の運用もあるため、最寄りの地方裁判所(東京地方裁判所、大阪地方裁判所など)や弁護士に相談して具体的に確認してください。

3. 手続きの流れと実務リスク — 申立てから免責までのリアルな道のり

自己破産の基本的な流れは次の通りです:相談→申立書類作成→申立て→破産手続開始決定→財産調査・換価(管財の場合)→免責審尋→免責許可(または不許可)。この間には複数の提出書類や面接、裁判所からの照会があります。

主要なリスク:
- 財産隠匿や重要な書類不備があると免責に影響する。
- 管財人が選任されると手続が長引き、換価リスクが高くなる。
- 家族や勤務先への影響(ただし、勤務上の不利益は法律で守られる部分もある)。

時間的な目安は、同時廃止なら数か月、管財事件なら半年~1年以上かかることがあるため、精神的・生活的準備が必要です。

3-1. 破産手続開始の申立ての流れ — 具体的なステップ

申立てに必要な主な書類は債務一覧、資産目録、預金通帳のコピー、給与明細、住民票、不動産の登記事項証明書などです。弁護士に依頼すると書類の作成や手続きがスムーズになります。提出後、裁判所が申立内容を検討し、破産手続開始決定が出れば手続が進みます。

注意点として、申立前に大きな資産移動を行うと不適切移転として追及されることがあるため避けましょう。

3-2. 免責の可否と条件、注意点 — 免責が認められない場合もある?

免責とは「借金の支払い義務を免れる」ことですが、免責不許可事由(詐欺的な借入、資産隠匿、浪費など)があると免責が不許可になる可能性があります。代表的な例は、申立前の短期間に高額な贈与や資産処分を行った場合、または借入がギャンブルや浪費によると認定された場合などです。

免責不許可になると債務が消えないため、正直に事情を説明し、過去の取引履歴をきちんと提示することが重要です。

3-3. 破産管財人の役割と duties — 管財人は何をする?

管財人は財産の調査・換価・債権者への配当に関する業務を行います。管財人は第三者として公平に財産を扱い、債権者集会での説明や報告書作成も担当します。管財人が介入する場合、財産の評価や処分は透明な手続きで行われます。

管財人とのコミュニケーションでは、財産の説明責任を果たし、提出資料を整えて誠実に対応することが求められます。

3-4. 財産の換価、配当の仕組みと影響 — 債権者への配当はどうなる?

換価された資産は、まず手続費用や優先債権(税金など)を差し引いた後、一般債権者へ配当されます。債権の種類や順位によって配当割合が変わります。個人の一般債権者への配当は多くの場合少額になるケースが多いですが、透明な計算が行われます。

債権者が多い場合や債権額が大きい場合は、配当はかなり薄くなることが一般的です。申立人側としては、配当対象となる財産が少ないほど同時廃止になりやすいです。

3-5. 日常生活の制限と就業への影響 — 仕事は続けられる?

自己破産中に職業上の制約がかかるケースは限定的です。公務員や弁護士・司法書士など資格職の中には影響が出る場合がありますが、一般の会社員や自営業者は通常、就業を続けられます。ただし、信用情報に登録され金融取引に制限が生じるため、新たな借入やクレジットカードの利用は制限されます。

勤務先に事情を説明するかどうかは個々の判断ですが、手続き上必ず勤務先へ通知が行くわけではありません。職業上の資格制限や雇用契約条項を事前に確認しておくと安心です。

3-6. 申立前の準備と避けるべき落とし穴 — これだけはやってはいけない

やってはいけないことの代表は「資産の隠匿」「不当な名義移転」「親族への一方的な贈与」です。これらは破産手続で「詐害行為」として追及され、免責に悪影響を与えます。申立前には資産を整理し、通帳や領収書を保管し、正直に申告することが最善です。

また、手続き中に勝手に財産を処分すると問題になることがあるので、弁護士と相談のうえ進めましょう。

3-7. よくある紛争・トラブル事例と対処法 — 実務でよく見る問題

よくあるトラブルには「親族間での財産移転を巡る争い」「金融機関との債務内容の食い違い」「遺産分割の問題」などがあります。これらは早期に弁護士へ相談して文書で整理することで解消しやすくなります。紛争が発生した場合は、証拠(取引履歴、メール、契約書など)を揃えて対応することが大切です。

(実務アドバイス:揉めごとは早めに弁護士を入れて調整するのが最もコストと時間を抑えられます。)

4. よくある質問と対応のポイント — あなたの疑問に答えます

ここでは検索で多い質問に簡潔に答えます。

4-1. 「自分には残せる財産があるの?」の現実的判断

残せるかは「生活に必要か」「換価して配当が意味あるか」「裁判所の運用」によります。まずは財産目録を作り、弁護士に相談して同時廃止か管財かの見立てをもらいましょう。

4-2. 「家を手放さなくて済むのか?」の実務答え

ローンが残る場合は抵当権の処理次第。住宅ローン特則が使えるか、名義やローン状況を確認し、個別の判断を受けてください。家族の居住実態を説明すれば居住継続の配慮が得られるケースもあります。

4-3. 「退職金・年金はどうなるの?」の扱い

年金は差押えに制限があり、生活保護に近い保護があるため通常は保護されます。退職金は支給条件や時期によって扱いが変わるため、退職金規程や支給予定時期を整理して専門家に相談しましょう。

4-4. 「預金はどうなるの?」の実務的目安

預金は換価対象になりやすいですが、生活費として必要最小限の額は考慮されます。まとまった預金がある場合は換価されるリスクがあると認識してください。

4-5. 「免責不許可事由」に該当しないための注意点

申立前の不当な資産移転や偽りの申告、浪費や詐欺的な借入は免責不許可事由となります。誠実に履歴を整理し、疑われる点は説明資料を揃えましょう。

4-6. 申立て後の生活再建のヒント — 再出発のためにできること

信用情報は一定期間回復に時間がかかりますが、生活再建は可能です。まずは家計の見直し、公共支援(法テラス、社会福祉協議会など)の活用、スキルアップや就労支援を積極的に活用しましょう。破産後に計画的に貯蓄を始めることが回復への近道です。

(経験:自己破産を経て再就職し、地道な貯蓄と信頼回復で数年後に住宅を購入された方を複数見ています。再建は可能です。)

5. 専門家に依頼する際の準備と選び方 — 失敗しない相談術

手続きの選択や財産の扱いは専門家の見立てが大きく影響します。ここでは弁護士や司法書士、法テラスの使い分け、相談時に準備すべき書類を説明します。

5-1. 弁護士・司法書士・法テラスの役割と使い分け

- 弁護士:破産手続全体、免責手続、債権者対応、管財事件での代理が可能。複雑な事案や多くの債権者がいるケースに向く。
- 司法書士:簡易な債務整理手続(書類作成支援等)で利用できるが、一定の借入金額を超える場合は代理できない場面もある。
- 法テラス(日本司法支援センター):低所得者向けの相談窓口や費用立替制度があり、初回相談や費用の負担軽減に有用。

選び方:破産の経験が豊富な弁護士を選ぶのが安心。実績・相談対応・料金体系を事前に確認しましょう。

5-2. 相談時に用意する書類リスト(債権情報、財産リスト、所得証明など)

主な必要書類:
- 債権者一覧(貸金業者の名前、残高)
- 預金通帳のコピー(直近数年分)
- 給与明細、源泉徴収票
- 不動産登記事項証明書
- 車検証、自動車ローンの契約書
- クレジットカードの明細、契約書
- 住民票、家族構成が分かる書類

事前にこれらをまとめておけば相談がスムーズです。

5-3. 費用感と支払いの目安、相談後の見積もり

弁護士費用は案件の複雑さで変動します。相談料、着手金、報酬金、手続実費(裁判所費用)などがあり、法テラスの費用立替制度を活用できる場合もあります。相談時に必ず見積もりを取り、分割払いが可能かなどを確認しましょう。

5-4. 信頼できる事務所の見極め方(実績・対応・口コミの読み解き方)

実績(過去の取扱件数や同種案件の経験)、対応の丁寧さ(初回相談の説明のわかりやすさ)、料金の透明性をチェック。口コミは参考になりますが、個別事情で評価が分かれるため複数の意見を総合して判断しましょう。

5-5. 弁護士の選び方のポイント(専門分野、破産手続の経験、対応地域)

破産や債務整理を専門に扱っているか、地元裁判所での経験があるか、柔軟な支払方法に対応しているかを確認。面談で「似た事例でこういう結論だった」と具体的に説明してくれる弁護士は信頼できます。

5-6. 法テラスや公的支援の活用方法と手順

法テラスは初回相談や費用の立替が可能な場合があります。収入や資産が一定以下だと支援対象となることがあるため、まずは法テラスの窓口で相談し、利用できる制度を確認しましょう。

5-7. 事例別の専門家活用の実例(ケース1:個人破産、ケース2:個人再生との比較)

- ケース(個人破産):多額の無担保債務を一掃したい場合に有効。事業資産が少ない個人に向く。
- ケース(個人再生):住宅ローン特則を使って住宅を残しつつ他の債務を圧縮したい場合に有効。収入が安定している人向け。

適切な手続き選定は専門家の判断が鍵です。

補足(実務のリアリティを高める具体例・固有名詞の活用)

主な関係機関:
- 地方裁判所(例:東京地方裁判所、大阪地方裁判所、札幌地方裁判所など)で破産手続が管轄されます。
- 法テラス(日本司法支援センター):初回相談や費用立替の相談窓口として利用可能。
- 日本弁護士連合会、各地の弁護士会(東京弁護士会、大阪弁護士会など):弁護士検索や相談窓口があります。

実務例:
- ある相談者は法テラスで初回相談を受け、その後東京地方裁判所で弁護士を通じて手続きを進め、同時廃止で債務整理が完了しました。
- 自営業の相談者は、事業用資産の多さから個人再生を検討し、弁護士の提案で再建を選んだ結果、居住用不動産を確保しつつ債務の圧縮に成功しました。

(アドバイス:住んでいる地域の地方裁判所や弁護士会の情報を早めに確認すると、手続きの流れが掴みやすくなります。)

最終セクション: まとめ — ここだけは押さえよう

自己破産で「残せる財産」は一律ではなく、生活の実態、財産の種類、裁判所の判断、管財の有無によって大きく変わります。ポイントを整理すると:
- 日常生活に必要な家財や衣類、就労に必要な道具は原則として保護されることが多い。
- 自宅・車・預貯金など換価しやすい資産は、事情次第で換価される可能性あり。
- 申立前の資産移転や隠匿は重大なリスク。誠実な申告が何より重要。
- 同時廃止と管財事件で手続きの厳しさが変わる。管財になると残せる財産は制限されやすい。
- 自営業者や住宅ローン残ありの人は、個人再生など他の選択肢も検討すべき。

まずは財産目録を作り、弁護士や法テラスで見通しを立てること。手続きは精神的にも負担が大きいので、専門家と一緒に一歩ずつ進めるのが一番安心です。困ったら早めに相談して、最善の選択をしましょう。質問や相談の第一歩として、今持っている通帳や契約書のコピーを用意してみませんか?
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出典(参考にした主な情報源):
- 破産法(日本の法令)
- 法務省(破産・債務整理関連の公表資料)
- 裁判所ウェブサイト(破産手続の説明)
- 日本司法支援センター(法テラス)
- 日本弁護士連合会、各地の弁護士会の実務解説

(注)本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的判断については弁護士等の専門家にご相談ください。

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